- FRP防水ってよく聞くけどどんな特徴があるの?
- 業者にFRP防水をおすすめされたけど高くて悩んでいる
- ほかの防水工事と違いがよく分からない
- FRP防水のメリットって?
- なんでベランダやバルコニーに最適なの?
そのお悩み、この記事で解決できます。
FRP防水は、ガラスマットとポリエステル樹脂を組み合わせて形成する防水工法のことで、軽量で強度に優れていて防水性も非常に高いです。
また、FRP防水は硬化速度も速く乾燥の時間が短いため、ほかの工法に比べて工期が短縮できるのも特徴です。
FRP防水は、住宅のベランダやバルコニーなど、人がよく行き来する場所への施工に適しています。
この記事では、FRP防水の特徴やメリットやデメリット、施工工程から他の防水工事との相場比較など徹底的に解説します。
FRP防水とは?

まず、はじめにFRPについて紹介します。
FRP防水とは
FRPとは、繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced plastics)の略称のことです。
樹脂とガラス繊維を編んで作ったシートを組み合わせて形成する複合材料のことを指します。
どんなものに使われている?
・建築材や設備材料
・浴槽や貯水槽、プール
・飛行機やロケット、人工衛星の部品
・自動車の内外装や船舶、鉄道車両やバイクの一部など。
FRP防水のメリット、デメリット

それでは、FRP防水のメリットとデメリットを一つずつ見てみましょう。
メリット
軽量
防水層の重量は3~5kg/㎡ほどです。
軽量で下地への負担が少なく建物全体への負担が軽減できます。
強度がある

耐衝撃性や耐摩耗性に優れていて、剝がれにくいのも特徴です。
ガラスマットには種類があり、強度に特化したものや仕上がりの美しさを重視したものなどがあります。
防水性が高い

浴槽や貯水槽、プールに使われるほど防水性に優れています。
FRP防水は、水が侵入する隙がないほど防水性は抜群です。
継ぎ目ができない
ガラスマットの上からポリエステル樹脂を塗布する工法なので、継ぎ目ができません。
カットされたガラスマットを交差させると樹脂を塗布した際に、ラインが出てしまうことがあります。
その場合は、端部分を手でちぎると樹脂が浸透しやすくなり、綺麗に継ぎ目のない床面に仕上がります。
硬化速度が速い

従来の塗装に比べてFRP防水は、硬化時間が速いため、”乾燥”の時間が短く済みます。
そのため、工期の短縮ができる点も大きなメリットです。
狭いベランダやバルコニーであれば、最短1日で工事完了になります。
デメリット
スチレン臭
ガラスマットと樹脂を硬化させるタイミングで、スチレン臭という強い刺激臭が発生します。
独特な甘い強い臭いがしますが、乾燥すると臭いはなくなります。
そのため、施工時はマスクや換気など臭いの対策は必須です。
コストがかかる

FRP防水は、ガラスマットとポリエステル樹脂を使用します。
施工にあたって防水層を均一に塗布する技術や勾配の知識など、多くの経験が必要です。
そのため、ウレタン防水やシート防水に比べると、コストがかかってしまいます。
柔軟性が低い
FRP防水はプラスチックのため、柔軟性が低いです。
強風や地震により下地部分が変形してしまった場合、FRPは建物の形状変化についていけず、割れてしまう可能性があります。
FRP防水の表面部分に変化が見られなかったとしても、隙間ができてしまったり、下地から浮いてしまうこともあります。
紫外線に弱い

FRP防水は、長時間紫外線に当たり続けると、防水層が痛んでしまい、防水性が落ちてしまいます。
そのため紫外線から防水層を保護するためトップコートが必要不可欠です。
トップコート塗装を行うと、防水層の保護になりFRP防水層の劣化を抑えることができます。
トップコートについてこちらの記事で詳しく紹介しています。

FRP防水がベランダやバルコニーに最適な理由

FRP防水は、屋上駐車場など車が走行される場所にも使用されており、耐久性に非常に優れています。
また、耐水性が非常に高く、ベランダやバルコニーなどの屋外の環境にも適しています。
この2つの理由からベランダやバルコニーにFRP防水は最適だと言えます。
FRP防水の施工工程
それでは、実際にFRP防水を施工する工程を紹介します。

はじめに、高圧洗浄で床面や立ち上がり部分の汚れを落とします。
床面の綺麗にして、防水層の密着性を高めるための作業です。

下地処理は、塗装面の目荒らし(サンディング)を行います。
表面を細かく傷つけることで凹凸を作り、塗料との密着力を高めます。

次に、アセトン拭きです。
アセトン拭きは表面の油分や汚れを除去して、密着度をあげます。

アセトン拭きの次に、プライマーを塗布します。
プライマーは接着剤のような役割で、塗料との密着性がよくなります。

プライマーが乾いたら、カットしたガラスマットを敷いていきます。
ガラスマットはシート状になっているため、施工範囲に合わせてカットして使用します。

ガラスマットにポリエステル樹脂を染み込ませる工程です。
脱泡ローラーを使用してマットに残った気泡を除去しながら作業を進めていきます。

ガラスマットとポリエステル樹脂で作ったFRP防水層が完全に硬化したら、最後にトップコートを塗布します。
1度か2度塗りをして、完全に乾いたら完成です。
2プライ(2度塗りの工法)の場合は、防水層を2層にします。
防水層が2層になるため、防水性と耐久性が大幅に向上します。
FRP防水・ウレタン防水・シート防水の比較
FRP防水 | ウレタン防水 | シート防水 | |
---|---|---|---|
臭い | スチレン臭 (独特な刺激臭) | ウレタン特有の匂い | 接着剤の臭い程度 |
継ぎ目 | なし | なし | あり |
工法 | ― | 密着工法、 通気緩衝工法 | 密着工法、 機械固定工法 |
トップコート | 必要 | 必要 | 不要 |
施工に向いている場所 | 狭いベランダや バルコニー | 広い面積、 複雑な形状 | 広い場所、屋上 |
耐用年数 | 10年~20年 | 10年~15年 | 13年~20年 |
価格相場 | 約5,000円~10,000円/㎡ | 約5,000円~9,500円/㎡ (工法による) | 約3,500円~7,500円/㎡ (塩ビシートの場合) |
まとめ
今回は、「ベランダやバルコニーに最適なFRP防水の特徴や費用相場」を解説しました。
- FRP防水は、軽量で強度があり防水性に優れ、硬化速度が速く工期が短縮できる
- 耐久性・耐水性に非常に優れているため、ベランダやバルコニーにFRP防水は最適だといえる
- 他の防水工事に比べてFRP防水は価格相場が高いが、材料費や施工の難しさ、耐用年数を考えるとFRP防水のコストパフォーマンスが高い
- ウレタン防水やシート防水は、施工時の臭いや工法、施工に向いている場所などに違いがある
- FRP防水は、防水性が高く、軽量のため建物への負担も少なく耐久性や耐摩耗性にも優れているというメリットがある