屋根の頂点にあたる「棟(むね)」は、雨風の影響を受けやすく、最も傷みやすい部分です。
劣化を放置していると、雨漏りの原因になり、結果的に修繕費用も高くなる恐れがあります。
屋根の棟には金属製の「棟板金」、瓦を積む「棟瓦」があり、それぞれに適した補修が必要です。
この記事では、棟板金・棟瓦の構造や劣化のサイン・交換のタイミング・費用相場・業者選びの注意点まで、わかりやすく説明します。
屋根リフォームで後悔しないための注意点もご紹介しますので、ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです。
【棟板金と棟瓦】それぞれの特徴
屋根の棟は、使用されている屋根材によって「棟板金」または「棟瓦」に分かれます。
どちらも屋根を守る大切な部位ですが、それぞれの構造や特徴に違いがあります。
棟板金とは?

スレート屋根や金属屋根のてっぺんに使われる、金属製のカバーが「棟板金」です。
内部には「貫板(ぬきいた)」と呼ばれる木材や樹脂製の下地材があり、その上に板金を被せて固定しています。
棟板金は、軽量で施工性が高い反面、釘やビスの浮き、板金のめくれといった劣化が生じやすいです。
そのため、強風で飛ばされるトラブルが発生します。
下の記事では棟板金の役割・劣化のサイン・修理費用など、詳しく説明しています!

棟瓦とは?

瓦屋根に使われるのが「棟瓦」で、屋根の頂上に複数枚の瓦を積み上げ、漆喰(しっくい)やモルタルなどで固定したものです。
重厚で高級感があり、耐久性にも優れていますが、時間とともに漆喰が劣化し、地震などで瓦がズレることがあります。
屋根の棟交換はいつ?
棟板金と棟瓦は、劣化の症状も異なります。
屋根の点検時や、雨風のあとに、次のようなサインが見られたら注意が必要です。
棟板金の劣化サイン

- 板金を固定する釘やビスが浮いている
- 板金そのものが反り返っている
- 強風でバタバタ音がする
- 板金のつなぎ目にすき間が見える
放置すると、内部の貫板が腐食して、板金が飛んで落下したり雨漏りの原因になる恐れがあります。
交換の目安は築10~15年程度です。
棟瓦の劣化サイン

- 棟に使われている漆喰が割れて剥がれている
- 瓦がずれたり、歪んで積まれている
- 冠瓦(かんむりがわら)と呼ばれる一番上の瓦が、外れかけている
- 瓦の間に雑草が生えている
瓦屋根は長持ちするものの、漆喰は15~20年程度での補修が推奨されています。
放置すると、瓦の落下や雨漏りの原因になります。
屋根の棟交換にかかる費用相場
棟交換の費用は、「棟板金」か「棟瓦」かで、大きく異なります。
それぞれの交換にかかる、一般的な費用の目安をご紹介します。
棟板金の交換費用

棟板金の交換費用は、使用する材料や施工方法によって変動します。
一般的な相場と、特徴をまとめました。
主な工事内容 | 貫板の交換+新しい板金の取り付け |
---|---|
費用相場(1mあたり) | 4,000~ |
全体の費用目安(5~10m) | 40,000~ |
使用部材の違い | 木製の貫板よりも、樹脂製の貫板のほうが高耐久 価格はやや割高 |
工期 | 半日~1日程度 |
備考 | 釘ではなくビスで固定がおすすめ →風の被害で飛ばされないため |
棟板金は比較的安い費用で済みます。
しかし内部の貫板が劣化したままだと、板金の浮きや釘抜けなどのトラブルが、再び起きる可能性があります。
耐久性を重視するなら、割高になりますが、貫板を樹脂製にし、ビスで固定してもらいましょう。
棟瓦の交換・修理費用
棟瓦は、和瓦屋根や重厚な外観の住宅で使われることが多く、施工の手間がかかるため、費用はやや高額です。
主な工事内容 | 棟瓦の積み直し or 漆喰補修/一部交換 |
---|---|
費用相場(1mあたり) | 10,000~ |
全体の費用目安(5~10m) | 100,000~ |
使用部材の違い | 手作業が多い 経験豊富な職人が必要 |
工期 | 1~2日程度 |
備考 | 漆喰の剥がれやズレは、放置すると雨漏りや倒壊の原因に |
棟瓦は、構造的に重くてズレやすいため、定期的な点検や補修が重要です。
また、下地の傷みがある場合は、棟の全体交換が必要になることもあります。
屋根の棟交換~知っておきたい注意点~

屋根の棟交換で失敗しないために、3つの注意点をご紹介します。
- ①小さな劣化を見逃さないこと
-
釘浮きや漆喰の割れなど、初期症状での早期対応が最も効果的です。
対策が遅れると、板金が飛んだり雨漏りが発生したりと、大きな問題につながります。
- ②足場代は他工事とまとめて節約
-
足場費用は工事費の半分以上になる事があります。
屋根塗装や外壁工事と同時に行えば、効率的かつ費用を抑えることができます。
- ③素材と施工品質に注目
-
棟板金の場合は樹脂製の貫板、ガルバリウム鋼板、ビス止め+コーキング施工、棟瓦の場合は乾式工法など、耐久性の高い施工を選ぶことが、家の長持ちにつながります。
屋根の棟交換~火災保険+業者選びのポイント~

火災保険の活用
台風や突風など、自然災害による棟板金の落下や棟瓦の崩れは、「風災」として火災保険の対象になる場合があります。
まずは、契約内容に「風災補償」が含まれているかどうかを確認しましょう。
申請は、被害発生日から3年以内が原則となります。
申請には、被害写真や修理見積書が必要になるため、業者に依頼して点検・書類作成をしてもらうとスムーズです。
ただし、経年劣化による修理は、保険適用外になるため注意が必要です。
信頼できる業者を見極めるポイント
屋根の棟交換は、目で確認しづらい作業なので、誠実な業者を選ぶことが何よりも重要です。
- ①屋根に登って写真付きで点検してくれるか
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地上からの目視だけでなく、実際に屋根に登って、写真付きの報告書を提示してくれる業者は信頼度が高いです。
- ②見積り内容が明確化
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「工事項目・使用部材・数量・単価」などが、しっかり記載されていることが大切です。
不明点が多い見積もりは、あとから追加費用を請求される可能性もあります。
- ③強引な営業をしないか
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「今すぐやらないと危ない」「今日だけ特別価格」など、不安を煽って急がせる営業には注意しましょう。
冷静に、比較検討する時間を与えてくれる業者を選びましょう。
- ④自社施工かどうかも確認
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元請けだけでなく、施工も自社で行っている会社は、責任感が強くアフター対応も丁寧な傾向があります。
- ⑤火災保険申請に協力的か
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申請に必要な写真・報告書・見積書の作成を、快く引き受けてくれるかもチェックポイントです。
まとめ
屋根の棟交換は、ただの修理ではなく、家を長く安全に保つための重要なメンテナンスです。
- 【築年数が10~15年を過ぎたら、定期点検を】
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棟の不具合は見えないところで進行していることが多く、早期発見がリフォーム費用の節約にもつながる
- 【小さな不具合でも、なるべく早く対応を】
-
釘浮きや漆喰の剥がれといった初期症状を見逃さず、「壊れてから」ではなく「壊れる前に」行動することが大切
- 【高品質な素材・丁寧な施工・信頼できる業者で工事を】
-
貫板に樹脂製を選ぶ、ビス固定にする、火災保険を活用するなど、長持ちとコストバランスの両立がポイント
屋根の棟に関する不安やご相談がある人は、実績のある専門業者へ気軽に問い合わせることをおすすめします。
適切な時期に正しい対応をすることで、屋根も家も、もっと長く快適に保ちましょう。
eリフォームでは無料で現地調査を行っています。
気になる点がございましたらお気軽にご連絡ください!
最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました。