「ベランダの床がひび割れ始めている」「床表面の塗装が剥がれてしまっている」
このような症状を放置してしまうのは危険です。
・FRP防水トップコートのメンテナンスの時期の目安
・自分でトップコートの塗り替えはできる?
・そもそもトップコートって必要?
・費用はどのくらいかかる?
今回は【FRP防水トップコート塗り替え】について徹底解説。
FRPの材質や特徴などの基本的な知識からメリットやデメリット、工程や相場などを詳しく紹介しています。
FRPとは?

FRPとは繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced plastics)の略称のことで、樹脂とガラス繊維を編んで作ったシートを組み合わせて形成する複合材料です。
どんなものに使われている?
- 建築材、設備材料
- 浴槽や貯水槽
- 飛行機やロケット、人工衛星の部品
- 自動車の内外装や船舶、鉄道車両やバイクの一部
日常で使用する物から人工衛星の部品など、とても幅広く使用されています。
メリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
軽量で強度がある 防水性が高い 継ぎ目ができない 硬化速度が早い 錆びない | 素材の分解ができずリサイクルができない コストがかかる 柔軟性がない 紫外線に弱い |
トップコートはなぜ必要?

FRPは防水性が高いことがメリットですが紫外線に弱いのがデメリットです。
トップコートを塗布せず長時間の紫外線に当たり続けると、防水層が痛んでしまい防水性が落ちてしまいます。
つまりトップコート塗装を行うことにより、防水層の保護になり劣化を抑えることができるということです。
また、紫外線だけでなく日々の雨風や摩擦からも防水層を守ってくれる役割があります。
トップコート塗り替え工程
ここではトップコートの塗り替え工程について詳しく紹介します。

落ち葉や砂、泥などを取り除きます。

高圧洗浄機で表面の汚れをしっかりと落とします。

電動グラインダーなどを使い、塗装面の目荒らしを行います。
既存のトップコートを剥がし、表面を細かく傷つけることで凹凸を作り、次に塗る塗料との密着力を高めます。

塗装面の油分や汚れを取り除くために、アセトンで全体を掃除します。

塗料の接着性をよくするために、プライマーを塗装します。

プライマーが乾いたらトップコートを1回または2回塗装して完全に乾いたら完成です。
トップコートの塗り直しは何日かかる?塗り替える頻度は?
規模や条件によりますが、トップコートの塗り直しは最短1日での施工が可能です。
また、トップコートは5年ほどで塗り替えるのが目安と言われています。
定期的にトップコートの塗り替えを行い、メンテナンスをすることで、FRP防水層を長持ちさせることができます。
こんなときは塗り替えを検討
では、劣化が進むとどんな症状が出るのか?具体的に紹介していきます。
どれか一つでも当てはまるものがあれば、塗り替えを検討しましょう。
チョーキング現象

表面を指で触ったときに指先に白くチョークのような粉がつくことをチョーキング現象と言います。
チョーキング現象は劣化の初期症状なので今すぐに補修をしなければいけない、というわけではありません。
そのままにしておくと劣化が進んでしまうため、塗り替えを検討し始める時期の目安にしましょう。
色褪せ

摩擦による色褪せや経年劣化での色褪せがあります。
ベランダで太陽光がよく当たる場所とあまり当たらない場所を見比べて、太陽がよく当たる場所の床の色が薄くなっている場合は劣化しているサインです。
ひび割れ・亀裂

ひび割れや亀裂には2種類あります。
トップコートがひび割れを起こしている状態と、防水層からひび割れしてしまっている状態です。
表面のトップコートだけひび割れしている場合はトップコートの塗り直しで解決できますが、防水層がひび割れしてしまっている場合は注意が必要です。
放置すると雨漏りする可能性があるので、どちらか分からない場合はプロに診断してもらいましょう。
剥がれ

剥がれが軽度であればトップコートの塗り直しで対応ができます。
しかし内部に水が侵入してしまい、床が浮いて剥がれてくるケースもあります。
すでに水が侵入してしまっている場合は、雨漏りの危険性があるため注意が必要です。
トップコートの種類・価格相場
FRP防水では主に2種類のトップコートが使用されます。
ポリエステル系トップコート
ポリエステル系トップコートは対摩耗性に優れています。
重ね塗りに向いていないため新築住宅などに使用されることが多いです。
また、価格相場(㎡)は1,550~3,000円程度です。
アクリルウレタン系トップコート
アクリルウレタン系トップコートは伸縮性が高いため、主に塗り直しに使用されます。
そのためメンテナンスやリフォームに向いています。
価格相場(㎡)は1,700~3,000円程度です。
一般的な住宅のベランダの場合、どちらも数万円~10万円前後になります。
防水層が傷んでいる場合は、さらにコストがかかるので、ご注意ください。
トップコートを長持ちさせるために
少しでもトップコートを長持ちさせるために、日頃からできることを紹介します。
こまめに清掃をする

雨水を排出するための排水口や床面を綺麗な状態に保つことが重要です。
葉っぱや泥、砂などが溜まってしまうと排水ができず、トップコートの上に汚水が溜まってしまいます。
汚水が溜まった状態だと、トップコートの劣化が進んでしまう原因になりますので注意が必要です。
ひび割れや剥がれが無いか日々確認する
日々の小さな変化を見逃さないことが大切です。
早く気付くことで被害を最小限で抑えることができます。
メンテンスを先延ばしにすると下地まで傷んでしまう可能性があります。
そして金銭的に負担になってしまいますので早めの相談がとても大事です。
トップコートの塗り替えはDIYでできる?

トップコートをDIYで塗ることはおすすめできません。
DIYはコストを抑えられるため人気ですが、トップコートの塗り替えは「塗るだけ」ではなく下地の調整や乾燥時間、塗布量など様々な知識と技術が必要になります。
また、塗料には相性があります。
相性の悪い塗料で塗り直しをしようとしても、反発が起きてしまい、塗り直しが困難になってしまう場合もあります。
下地の劣化や小さな異変を見逃してしまい、表面から見えない内部で腐食や劣化が進んでしまっている可能性がありますので、点検から施工までプロに頼むのがお勧めです。
まとめ
ベランダやバルコニーは常に紫外線を受け、強風や雨に晒されているため、劣化の進みやすい箇所になります。
日々の小さな変化を見逃さないことがとても重要です。
また、剥がれや色褪せ、ひび割れは塗り替え時期の目安です。
小さな異変が大きくなってしまう前に、お早めに点検・メンテナンスをご検討ください。