「鎖樋(くさりとい、くさりどい)」という言葉を聞いたことはありますか?
鎖樋とは、屋根に降った雨を下へ流す雨どいの一種で、見た目がおしゃれで風情があると注目されています。
近年では、和風住宅だけでなく、デザイン性を重視した新築やリフォームにも取り付けられるケースが増えてきました。
この記事では、鎖樋の基本から、種類の違いや設置するメリット、デメリット・交換の目安までわかりやすく解説します。
「見た目にもこだわった雨どいを選びたい」「鎖樋の機能や使い方が気になる」という人は、ぜひ参考にしてください。
鎖樋とは?基本の役割と特徴

鎖樋とは、屋根に降った雨を地面へと流すためのチェーン状の雨どいです。
一般的なパイプ状の雨どいと異なり、鎖やカップなどが連なったデザインが特徴です。
住宅や神社仏閣、店舗などで使われることがあり、機能性と装飾性を兼ね備えた雨どいとして、注目されています。
最近では「見た目の美しさ」や「雨音の癒し」を目的に、デザイン性を重視する住宅に取り入れられるようになりました。
「雨どい」「竪樋」に関する詳しい内容については、以下の記事で解説しています。


鎖樋とはどんな場面で使われる?

※画像引用:Wikipedia(JR松島駅)
鎖樋は、主に次のような場面で使用されます。
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外観に溶け込むようなデザイン性を重視する建物で、パイプ型の雨どいの変わりに使われます。
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寺院や和風住宅などで、鎖樋の「雨が落ちる音」や「雫が伝う様子」も、風情の一部として親しまれています。
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屋根面積が小さい場合や、雨水が激しく流れない設計の場所に向いています。
鎖樋と他の雨どいとの違い

鎖樋は、以下のように、他の雨どいと構造も機能も異なります。
項目 | 鎖樋 | 通常の雨どい |
---|---|---|
形状 | 鎖状または輪っか状 | 筒状のパイプ型 |
見た目の印象 | 装飾性が高く、デザイン性に優れる | シンプルで機能重視のデザイン |
雨水の流れ方 | 鎖や輪を伝ってゆっくり落ちる | パイプの内部をスムーズに流れる |
設置の手軽さ | 軽量で、取り付けが比較的かんたん | 専門的な施工が必要 |
耐風性 | 強風で揺れやすく、やや不安定 | しっかり固定されていて、風に強い |
鎖樋の代表的な形と素材

鎖樋にはさまざまな種類があり、建物の雰囲気や目的に応じて選ぶことができます。
ここでは、鎖樋の主な形状と素材について、それぞれ紹介します。
鎖樋の主な形状
鎖樋の主な形状をご紹介します。
- 輪型タイプ
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丸い輪が連なったデザイン。雨が輪を伝って美しく落ちていく様子が特徴的。
- チェーンタイプ
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シンプルな金属鎖で構成され、軽やかでスタイリッシュな印象。モダンな住宅に人気。
- カップ型タイプ
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カップ状の受け皿が連なっていて、水が一つひとつのカップを伝って落ちていく。装飾性が高く、和風建築との相性が高い。
鎖樋の主な素材
次に、鎖樋の主な素材についてご紹介します。
- 銅製
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経年変化によって緑青(ろくしょう)が現れ、風格ある外観。価格は高めだが、耐久性が高く人気。
- アルミ・ステンレス製
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サビにくく、手入れが簡単。モダンな住宅との相性が良い。
- 鉄や鋳物製
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重厚感があり、デザイン性も高いものが多い。サビやすいため、メンテナンスが必要。
鎖樋のメリットデメリット
鎖樋は見た目の美しさから人気がありますが、実用面での注意点も存在します。
設置を検討する際には、メリットだけでなくデメリットも含めて理解しておくことが大切です。
鎖樋のメリット

※画像引用:瀬尾製作所【コープ共済プラザ:東京都千駄ヶ谷】
見た目が美しく、住宅デザインに調和する
鎖樋は、一般的な雨どいに比べて装飾性が高く、雨の日でも「風情がある」と楽しまれます。
和風の住宅はもちろん、モダンテイストな外観にもよく馴染みます。
雨音がやさしく落ち着ける
通常の竪樋よりも、雨音が控えめで「ポタポタ」と優しく伝う音が特徴です。
雨音が気になりにくいため、寝室の近くなどでも快適に使用できます。
構造がシンプルで施工しやすい
鎖樋はパーツが少なく、構造もシンプルなため、取り付けや交換が比較的スムーズです。
万が一不具合が起きても、パーツ単位での交換も可能です。
鎖樋のデメリット

排水能力が低く、大雨に弱い
鎖樋は雨水を「流す」のではなく、「伝わせる」構造です。
そのため、排水能力は一般的な竪樋よりも劣ります。
大雨が降ると、処理しきれず水が飛び散ってしまう可能性があるため、雨量の多い地域には向きません。
強風時に揺れて音がする
風が吹くと鎖が揺れ、「カチャカチャ」と金属音がする場合があります。
特に、窓の近くに設置する際は、音が気になるかもしれません。
冬場は凍結のリスクがある
寒い地域では、鎖に沿った水が凍りついて氷柱(つらら)ができたり、重みによる破損が発生するリスクがあります。
設置地域の気候にも、考慮が必要です。
鎖樋の費用と交換のタイミング

鎖樋の設置費用は、おおよそ1本あたり5,000円~です。
素材やデザインによって価格が大きく異なります。
また、取り付け費用が別途かかる場合があるため、事前に見積もりを取るのがおすすめです。
交換のタイミングは、以下のような症状が現れたら検討しましょう。
- サビや変色が目立ってきたとき
- 鎖が切れたり、外れたりしたとき
- 苔などにより、雨水の流れが悪くなったとき
まとめ
鎖樋は、雨水を流すだけでなく、外観の印象まで左右する「見せる」雨どいです。
和風からモダンまで、建物のスタイルに合わせて選べる点も大きな魅力でしょう。
ただし、地域の気候や風の強さ、設置場所などを考慮しないと、雨水が飛び散ったり不具合の原因になります。
「雨どい=機能だけ」と思っていた人も、鎖樋の美しさや特徴を知ることで、選択肢の幅が広がるかもしれません。
迷ったら、ぜひ専門業者に相談し、建物に合った雨どいを選びましょう。
eリフォームでは無料で現地調査を行っていますので、気になる点がございましたらお気軽にご連絡ください!
最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました。