棟板金(むねばんきん)という言葉をご存じですか?
リフォームや屋根の点検の際に、初めて聞いた人も多いのではないでしょうか。
実はこの棟板金、屋根の中でもとても重要なパーツのひとつです。
「棟板金が浮いている」「飛んでしまった」そんなときに放置するのは非常に危険です。
この記事では、棟板金の役割から劣化のサイン、修理・交換のタイミング、修理費用の相場まで、初心者の人にもわかりやすく解説します。
棟板金とは一体どのようなものなのか、棟板金について知りたい人は、ぜひ最後までお読みください。
棟板金とは?基礎知識をチェックしよう

そもそも「棟(むね)」ってどこの部分かご存じでしょうか?
「棟」とは、戸建て住宅の屋根の1番高いところ、いわば「屋根のてっぺん」の部分です。
写真で赤色で囲っている部分を「棟」と呼びます。
この「棟」には、「棟板金」という金属のカバーがついていて、家を守る重要な役割を果たしています。
棟板金の主な役割は、おおきく以下の3つです。
・屋根の継ぎ目を覆って雨水の侵入を防ぐ
・風による屋根材の浮きやズレを防止
・屋根全体の見た目を整える
屋根同士が合わさる部分には隙間が生じてまうため、その隙間を保護し、屋根同士を固定する役割があります。
貫板(ぬきいた)という下地材をあて、その上から、金属板を被せるという仕組みになっています。
「内部に使用する貫板によって、棟板金の不具合は起こることが多い」と言われるほど、貫板は重要な部材です。
木製の貫板にも防水性・耐久性はありますが、腐食のリスクなどから、最近では樹脂製の貫板も多く使われています。
棟板金にはどんな種類があるの?メリット・デメリットは?
棟板金に使われる素材名と特徴、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
素材名 | メリット〇 | デメリット× |
---|---|---|
ガルバリウム鋼板 | サビに強く長持ちで、耐久性が高い 軽いので建物への負担が少ない 価格が比較的安い | 塩害地域(海の近く)では、劣化しやすい キズがつくとサビやすい |
トタン | 価格が安い 加工しやすい | サビやすく、耐久性が低い 定期的な塗装のメンテナンスが必要 |
ステンレス | サビに強く、寿命が長い 丈夫で耐久性が高い | 価格が高い 重いため屋根に負担がかかる |
銅板 | 長期間のメンテナンスが不要 見た目が美しい(経年劣化も魅力) | とても価格が高い 酸性雨に弱い |
棟板金の耐用年数はどれぐらい?
一般的に、棟板金の耐用年数は15~25年といわれています。
大雨や台風などの災害が多い地域の場合は、隙間をふさいでいる防水の材料(シーリング)が早く傷んだり、貫板が腐りやすくなっているかもしれません。
7~10年を目安に修理・メンテナンスを行うと、棟板金を長持ちさせることに繋がります。
棟板金の劣化のサインは?

屋根は、雨や風の影響を受けやすく、棟板金の経年劣化は避けられません。
次のような症状が見られたら、棟板金が劣化しているサインかもしれません。
棟板金が浮いている
屋根の上を見上げたときに、棟板金が浮いていたり、端が持ち上がっているように見える場合は要注意です。
落下して、「隣の家の窓ガラスを割ってしまった」「歩行者に直撃してケガを負わせてしまった」といった事態を招きかねません。
特に台風後は、棟板金が飛ばされることが多いので要注意です。
釘やビスが抜けている
棟板金を止めている釘が飛び出していたり、抜けている場合があります。
棟板金は金属のため、日中の太陽の熱で膨張し、夜になると気温が低下して収縮します。
こうして膨張と収縮を繰り返すことで、しっかりと打ちこんでいても徐々にゆるみ、最終的に抜けてしまうのです。
日当たりがよい家は、板金が膨張しやすく、釘が外れやすくなっています。
板金にサビができている
棟板金に茶色っぽいサビが見えるようになったら、劣化の初期段階です。
雨漏りが発生している
「天井にシミがある」「雨のあとにポタポタ音がする」といった症状がある場合、棟板金まわりから雨漏りが疑われます。
貫板や屋根だけでなく、壁・柱・床・屋根・階段など、建物の内装を腐らせてしまいます。
最悪の場合、建物が壊れ、倒れる恐れもあるため要注意です。
強風のあとに異音や部材の落下があった
風の強い日以降、「バタバタと音がする」「屋根から何かが落ちてきた」といった場合は、棟板金の一部が外れてしまっている可能性があります。
屋根の上は高くて危険ですし、自分で見るのは現実的ではありません。
ひとつでも当てはまる場合は、屋根点検の経験が豊富な業者に見てもらいましょう。
最近では無料点検や、ドローンを使った点検を行っている業者もあります。
棟板金の工事の流れ

実際の棟板金工事の流れを、簡単にご説明します。
ビスや釘をすべて抜き取ります。
周りの屋根を傷つけたり、壊さないように、劣化した棟板金を外します。
下地の貫板が傷んでいる場合は、新しい貫板に張り替えて、ビスでしっかり固定します。
貫板の上に雨風に強い金属製の板(1枚あたり2m)を重ね合わせながら設置します。
ビスでしっかり固定します。
棟板金は、重ね合わせて作られているため、継ぎ目ができます。
その継ぎ目をシーリングで埋める仕上げと点検を行い、正しく施工されていることを確認して工事完了です。
棟板金修理の相場費用は?

主な棟板金工事の費用相場、内容を紹介します。
工事内容 | 費用相場 | 内容・備考 |
---|---|---|
棟板金の交換 | 4,000~/㎡ | 板金の撤去・新設・貫板の撤去含む |
棟板金の全交換(10~20㎡) | 5,000~ | 一般的な戸建ての棟板金を交換した場合の目安 |
貫板の交換 | 1,000~/㎡ | 木製または樹脂製によって変わる |
貫板を樹脂製に変更 | +1,000~/㎡ | 樹脂製は腐りにくく長持ち。 追加料金が発生することがある |
部分補修(浮き・釘の打ち直しなど) | 10,000~ | 小規模なトラブルへの応急処置 |
板金のサビ取り・再塗装 | 10,000~ | サビの程度や塗装範囲による |
足場設置(必要な場合) | 100,000~ | 2階建て以上、急こう配の屋根の場合に必要になることが多い |
部分補修だけで済む場合は、数万円に収まることもありますが、全体交換になると、10万円以上になることが多いです。
また、樹脂製の貫板は耐久性が高いため、長期的にみるとメンテナンス費用が抑えられる可能性があります。
棟板金に火災保険が使える?適用条件を分かりやすく解説します!

棟板金の修理や交換に火災保険が適用できる場合があります。
ただし、すべてのケースで保険が使えるわけではありません。
どんなときに火災保険が使えるのか、ご紹介します。
- 破損のきっかけが自然災害だった(台風・強風・雪・ひょう)
- 破損にあった日付がわかる、または調べることができる
- 破損にあった部分の写真、破損の証拠がある
- 修理が必要な部分は劣化ではなく、突発的な破損によるもの(強風で落下物が当たり凹んだ)
- 破損から3年以内である(保険法に基づく)
- 修理前に保険会社、または業者に相談している
当てはまるチェックが多ければ、火災保険が使える可能性が高いです。
自己判断で諦めてしまうのはもったいないので、破損に気づいたら、早めに専門業者や保険会社へ相談することをおすすめします。
- 破損に気づいたらすぐに写真を撮ること
- 破損から3年以内なら申請可能(保険法に基づく)
棟板金工事を依頼するときに注意すべきポイント

棟板金工事を安心して任せるためには、信頼できる業者選びが重要です。
以下のような点に注意しておくと、トラブルを防ぎやすくなります。
【火災保険のサポートがあるか】
自然災害による破損なら、保険が使える可能性があるので、申請の手続きを手伝ってくれる業者が安心です。
【見積もり・調査が無料か】
信頼できる業者は、屋根の現地調査や見積もりを無料でおこない、工事内容を明確に説明してくれます。
【説明や対応が丁寧か】
専門用語をかみ砕いて説明してくれる、誠実な対応をしてくれるか、なども大切なポイントです。
【保証やアフターフォローがあるか】
工事後のトラブルに備えて、保証内容やフォロー体制も事前に確認しておきましょう。
また、棟板金工事の業者を選ぶ際は、悪質な業者に引っかからないよう注意が必要です。
屋根の上は、普段見えにくいため、知識のないお客様を狙ったトラブルも少なくありません。
たとえば、「今すぐ工事をしないと危険です!」と、突然訪問して契約を迫るような飛び込み営業は要注意です。
焦って契約する前に、必ず他の業者と比較し、落ち着いて判断しましょう。
また、極端に安い見積もりにも注意が必要です。
最初は安く見せておいて、あとから追加で費用を請求されるケースもあります。
工事の内容や、工事の範囲がはっきりしている見積もりを提示してくれる業者を選ぶことが大切です。
まとめ
棟板金の工事は、普段見えにくい場所だからこそ、重要な工事となります。
放置すると、雨漏りや家の劣化につながるため、早めの点検と対応が大切です。
「うちもそろそろかな?」と思ったら、まずは信頼できる業者に相談してみましょう。
eリフォームでは、修理のご相談、お見積りなど受け付けております。
是非お気軽にご連絡ください。
最後までご拝読いただき、ありがとうございました。